お久しぶり更新2018GW・最近2年の近作ご紹介(その2):杉並区の2世帯住宅

 

近作のご紹介(その2)です。


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æsker og lys(エスカ オ リース)

杉並区の2世帯住宅。
1階に親世帯、2階に子世帯というオーソドックスな構成ですが、防音仕様やプランニングの工夫によって、適度な関係で一緒に(でも別々に)暮らすことができる住宅です。

作品名の「æsker og lys」は「光と箱」を意味します。

上の写真は、外観と2階リビングの様子。
白く染色した栗材の床と、黒系の家具素材が、光とともにリズムを奏でるインテリアになっています。
僕としては、いつもより少し「造形的」な手法を用いて設計しました。

施主さん家族は、建築の世界で「経師」という仕事を代々手掛けているご一家。
経師とは、屏風や襖の表装、現代では壁紙張りをおこなう伝統的かつ専門的な職業のこと。東京で名だたる建築の内装を手掛ける名人とあって、設計にも施工にも当然手を抜けない、心地よい緊張感の中でプロジェクトは進みました。

濃淡の色に染めた「桐」の壁。そしてテレビ台とロフトへの急勾配の階段が造形的にレイアウトされています。

この階段と壁のディテールを見てください。
壁には「桐」の板を薄くスライスして濃淡に染色し繋ぎ合わせた特殊なシートを張っています。そこに、階段の板が突き刺さる。
この凄さ、分かる人には分かるはずです。現場では腕自慢の職人たちが黙々と過酷な作業をやり遂げました。

ちなみに、この漆黒の家具(テレビ台)は、僕のオリジナルデザイン。
製作したのはやはり名人級の職人さんです。機器が収納される部分のスモークガラスもその濃度までにもこだわって緻密にデザインしています。まさに職人と設計者の真剣勝負。(トップの写真)

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次の写真は、1階の親世帯リビングルーム。
壁装のショールーム的な機能も考慮しました。

2世帯住宅設計の最大ポイントは、1階と2階の生活音が重ならないような間取り的工夫です。
このプロジェクトではさらに「防音仕様」にも力を入れました。
木造住宅はコンクリート造と比べると、やはり遮音性に限界がありますが、現代でできる限りの(もちろんコストをかけすぎない範囲で)技術を投入し、概ね目標の防音性能には達していると思います。

ところで、この1階の壁装材も凄いですね。アップ写真を見てください。
さまざまな色の細い糸が幾重にも束ねられてシート状になった素材です。デンマーク製の極上品。これをここまでビシッと施工できる腕と度胸には、思わず唸ってしまいます。

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2世帯住宅の設計は、難しいです。

世代や価値観の違う家族が「一緒」に、しかし「別々」のライフスタイルで住む‥という現代ではとても難しいお題を、如何にデザインするか?

これまでエスでは、たくさんの2世帯住宅を設計経験を通して、無数の難題に直面し、そして乗り越えてきました。(人間関係と間取り関係、デザイン、コストの折合い、現在と将来をどう考えるか?)
僕としては、苦労してきたお陰で「2世帯住宅」への様々に異なる解答を、それなりに残せたのではないかと思っています。

2世帯住宅を計画中のご家族さま。
エスならではの設計で、素敵な家をつくりましょう!
どうぞよろしく!
(と、ちょっと宣伝してみた^^。)

(さらに、その3(執筆中)に続く…)

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お知らせ

エスでは、家づくりの相談を常時受付けています。
このGW中も、事前にご予約いただければ、じっくり対応いたします。
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申込みは、
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