例年になく桜は早く咲いてしまいました。
本日、さくら*ファクトリーは朝から「建て方(たてかた=軸組を立ち上げること)」を実施。
目の前には、すでに散り始めている桜の古木。
それをみんなで眺めながら、今日は上棟式を執り行いました。
・・
エスでは、建物をつくる時、わりと「儀式」を重視しています。
たとえば、着工前の地鎮祭、そして軸組ができあがるときの上棟式。
どちらも、日本古来の「神事」です。
負担する費用は少し増えてしまいますが、あえて僕は「やったほうが良いですよ」と、施主さんにはいつも勧めています。そして、監督に工事スケジュールを調整してもらって、できる土曜日などに「上棟」をむかえることができるようにするのです。
僕自身は、もともと神様を信じているクチではありませんが、この仕事を続けてきて20数年、何となく最近は「神様」がいるような気がして来ました。
でもまあ、実際にはもちろん神様がいるわけはないので、あくまでも「心」の問題ではあります。
で、人どうしの「心」を通わせるには、
やっぱり最近のスマホとかメールなどでは中々通じることは出来ないわけで、実際に相手の顔を見てコミュニケーションすることが絶対に重要だと思います。
「家」をつくる、というプロセスの中では、施主が「つくり手を信じる」ということが絶対不可欠です。そして、つくりて手は「施主のアツい思いをしっかり受け止める」ことがとても重要です。
そうでなければ、とうてい「素晴しい家」は出来上がらないと僕は考えます。
地鎮祭は、「工事をはじめますよ」という神様へのご挨拶。
そして上棟式は、施主自身が「これから出来る建物」を愛していくことを誓い、神様を通じて施主の「家」への思いを現場の人たちにしっかりと伝える機会だと、僕は理解しています。
上棟式では、その日の棟上げ作業に関わった職人さんや工事関係者がすべて集合し、伝統に則った儀式をひと通りおこなったあと、「直会(なおらい」という食事の席を設けます。
直会は、本来は「神事」のひとつで、いろいろと作法が決まっています。
しかし、実際には、「施主と職人さんたちのコミュニケーションの場」として、僕は位置付けています。
今回、さくら*ファクトリーでは、作業が終わった夕方、建物のちょうど向かいにある桜を前にして宴席が設けられました。
参加したのは今日の作業を終えた大工さんと鳶さん、現場監督、工事会社の社長、設計者の僕、そして施主ご一家。総勢14名、さながら、賑やかな夜桜の席です。
食事のテーブルは、現場の材料をつかって、手際よく大工さんたちが作ってくれました。
施主さんの用意してくださった食事を頂きながら、話は楽しくはずみました。
僕の知っている職人さんたちは、とても「シャイ」な人たちが多い。寡黙な職人たちです。
普段の現場では、なかなか施主さんとじっくり話すことはできませんが、こうした直会の場では、みんなリラックスして気持ちを伝え合うことができるのです。
・・
しばし歓談のあと、
「では、これからもよろしくお願いします」
「はい、任せてください!」
と、笑顔を交換して、いい気持ちで散会。
さらさらと散り落ちてくる桜の花びらにも祝福されているようで、とても素敵な上棟式でした。
さて、これからが現場本番。
頑張りましょう!!