ともに「作品」をつくりあげる仲間としての、職人たち。


急ピッチで工事が進む
都心住宅分譲プロジェクト/Living in Alley」。
残り少ないスケジュール、多くの職方が入り乱れ、慌ただしく現場は進行しています。
その職人達に負けまいと少し大きな声で指示を出す僕。
話がひと段落したあと、ひとりの若い職人が顔をじーっと見つめ、「この前、どこかでお会いしましたね…」と。
(3/25追記完了)


  
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「おお、久しぶり…」と、僕もすぐに思い出しました。
彼は、2011年完成の住宅作品「光と風の家/La maison du courant d’air」で、壁の左官仕上げを担当してくれた職人さんでした。まだ若い、20〜30代じゃないかな。でも頼もしい感じのプロフェッショナルです。
この住宅作品の紹介ページ(http://open-g.net/press/archives/1055)の写真を見てみてください。この階段のある吹き抜け空間とリビングの白い壁を仕上げてくれたのが彼です。
小さなサイズの写真でちょっと分かりにくいですが、ワイルドにざらっとしているけど、シルクのような柔らかさ…そんな感じを現場で試行錯誤して実現してもらいました。
使った素材は、アクリル樹脂系の左官塗り材。メーカー指定の技能をマスターした者しか基本的には手掛けられないので、彼らは特定の工務店に所属せず、数多くの現場を掛け持ちで仕上げて回っています。
僕の場合、いつも決まった職人さんにお願いするジャンルもありますが、メーカー製の左官仕上げ材に関しては特定の職人とのパイプは無いので、彼と今回の現場で再会したのは、まさに偶然だったのです。
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「どんな感じに仕上げましょうか?」と若い職人さん。
「この前は、材料メーカーの標準仕上げを少しアレンジしたよね。これくらいの骨材(砂利みたいなもの)をちょっと控えめに混ぜて、こーんなふうにぐっと押さえてもらったじゃない、今回もまさにそんな感じ!」とジェスチャーを交えて、僕。
「オッケー、了解です!あの家のリビングのあたりでいいですか?」
「そう、まさにそれ!」
打ち合わせは、鮮やかに終了。
横にいた監督さんも、ちょっとビックリな様子でした。
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僕のイメージの伝え方はいつも抽象的というか詩的で、その真意を上手に理解してくれる職人さんたちには本当にいつも助けられているんです。(たとえば、→こんなことも。)
現場では当然、設計図をもとに工事が進められていきますが、それに「魂」を吹き込むのは職人さんの腕です。
出来上がった空間が感動を呼ぶものであるかどうか、それは勿論、設計の完成度にも左右されますが、それ以上に、もっと深い「何か」、気持ちの深い部分を揺り動かす「何か」は、やはり職人さんの技能次第と言っても過言ではありません。(そして、もちろんそれを取りまとめる「監督」こそ現場のキーマン。)
建築の現場では、職人さんの高齢化が大きな問題となっています。
都会の現場も地方の現場も、どこも変わらず「後継者不足」に直面していて、大工さんをはじめ、塗装屋さん、設備屋さん、左官屋さん…どの職種も現場で活躍しているのは、かなりのベテラン職人が中心。若い職人さんが比較的少ない現実です。
今回の「都心住宅分譲プロジェクト/Living in Alley」では、若い大工さんも活躍している比較的「若い」現場です。
そういう現場って、僕はちょっと嬉しい。
建築の世界の「未来」に凄く希望を感じてしまいます。
俺ももっと頑張ろう!と、なんだか少し気合いも入ってしまうのです。