「段ボール模型」。楽しくスリリングなミーティング!


「さくら*ファクトリー」の段ボール模型です。
これをつかって、施主さんとの設計打ち合わせが本格化します。


 
 
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初期ヒアリングのあとラフプランをつくり、たたき台としての「段ボール模型」を制作。
まだ設計は始まったばかりですから、詳しいことは何も決めないで、ザックリとつくります。
ざっくりだけど、ちょっと大きめに臨場感のある模型です。
今回は打ち合わせの前日、大急ぎでつくってみました。
そして、打ち合わせ。
事務所に来ていただいた施主さんに、ジャジャーンとお見せしますと..
第一声は、「おお〜!」。
この「おお〜」。何度きいても嬉しいですね 。
毎度、施主さんたちの「家」への強い思いを感じる瞬間です。
やはり、立体的にみられる「模型」は、効果抜群。
いきなり場が盛り上がり、楽しい打ち合わせがスタートします。
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僕の住宅設計のモットーは、「自由であること」。
施主さんが「一般的な家」のイメージにしばられることのないように、そして、設計者として「専門家の常識」を押し付けることのないように。
ですから、設計打ち合わせ(初期)では、いかなる可能性も否定せず、施主さんには好き勝手に言いたいことを言っていただきます。
そのための「段ボール模型」です。
例えば、
「これいいね!」とか「ここは楽しいね」。
あるいは
「え〜、これはヤダっ!」「加藤さん、マジですか!?」
「でもこれ、こうしたら楽しいんじゃない?」
..と、個人的感想をどんどん言っていただいたり、ダメ出しをいただいたり、何かを発見してもらったりします。
さらに、自分以外のひとだったらどう感じる?とか、お客さんが来たらどう感じるか..。
とにかくいろんなことを思いつく限り言ってもらいます。
そして僕は、その場で段ボールを切り刻んだりして改造し、あーだこーだと話を盛り上げていくこともしばしば。
段ボールのカタマリを前にして、楽しくもスリリングなミーティングが展開していきます。
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しかし、
僕はこのあとの設計作業で、この「段ボール模型ミーティング」で出された意見を、必ずしもすべて実現させることを目指しません。
当たり前のことですが、限られた予算や土地の条件のなかでは「好き勝手な思い」がすべてが実現できるわけではありませんし、ただ要望を伺って、それを単純にカタチにできるほど、住宅の設計は簡単ではないのです。
では何故、好き勝手にしゃべっていただくか。
エスの企業秘密でもないので、書いちゃいますが、
この「段ボール模型ミーティング」の目的は、
・ご家族の基本的な要望の整理(優先順位の確認)
・少し極端なアイディアに対する許容範囲を確かめる
・かくれた条件、要望を探り出す
・施主さん一家の「心理的」志向性を把握する
・ひとりひとりの性格や家族内でのポジションを観察させていただく(笑)
…などなどです。
この段ボール模型ver.1は、決して結論を急がず、むしろ、「あらたな課題」を見つけるために作られたものです。
ときには立場を逆転させて、
施主さんが「設計者」になったつもりで意見を言い、そして逆に、設計者の僕が「住み手」につもりで意見を言ったり。
そんなふうに、いろいろな角度から深く試行錯誤していくことによって、だんだんと「家」のカタチに近づいていくのです。
この「自由なミーティング」、もう少し続きます。