Case Study Houses – The Complete CSH Program1945-1966


amazonから洋書「Case Study Houses(The Complete CSH Program)」が届きました。


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アメリカのミッドセンチュリー・デザイン「ケーススタディ・ハウス」は、戦後アメリカ西海岸において、メディア(雑誌)の企画から始ったスタイリッシュな商品住宅のプロジェクトです。
この本「Case Study Houses(The Complete CSH Program)」は、ケーススタディ・ハウスのシリーズ(36タイプ)をすべて、図面と美しい写真、詳細な説明文、さらにこれを企画した雑誌/arts&architectureの当時の記事で網羅。ケーススタディ・ハウスの完全資料です。
たしか以前、3万円(¥換算)くらいで出ていたものですが、今回のは、版元であるTaschenの25th Anniversary Special Editionsとして、ほんの少しだけ版型を小さくした特別版とのことです。
それでもサイズは十分に大きくて、ずっしり重い。
全440ページ。
今、amazonでこれが¥5,800ほどで出ています。(洋書店頭では¥10,000くらい)
安い!!
建築関係者は、絶対に「買い」です。
僕は、ちょうどamazonのアフィリエイトが少し儲かったところ。そのamazonギフト券で送られた分と合わせて、ぐーんと格安で購入させていただきました。
正月早々、トクした気分です (^^)。
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当時撮影された写真と、新しく最近撮られたと思われる解像度の高い美しいショットを加えたページ構成。とても素晴しい。
研究目的で見ている僕でさえも、こんな家に住みたいなぁ..と、うっかり思わされます。
スレンダーな鉄骨フレームと、大面積のガラス開口、水平ラインを強調したシルエット。
インテリアは、アイランドキッチンにミッドセンチュリー家具とシックな模様のラグ。
スタイリッシュで、インテリっぽい男女が、その空間の中で暮らしている風景。
シンプル。
そして透明な空間。



当時、
シンボリックで力強い象徴的形態を目指していた旧いデザインを否定して、新時代の「個人」が主役であることを宣言した革新的なデザインです。
写真に出演している男女たちは、その時代精神を見事に演じています。
そこでは、戦後の豊かな核家族の時代における「新しい意思」が表現されているのです。
以降、このデザインコンセプトは世界中の住宅デザインの基底流となり、今日まで至ります。
そして、日本の「モダンリビング・デザイン」が、ずっとこれをトレースし続けているのは、ご承知のとおり。(とは言っても、逆に、古くからの日本建築の形式が、ケーススタディ・ハウスのデザインに影響を与えていることも確認できます。)
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かの世界大戦直後に生まれた「家族のありかたとデザインコンセプト」のシステムが、今なお力強く生き続けている。その事実には驚いてしまいます。
でもじつは
これは、戦後から今に続く「消費社会」に最も適合したシステムだったのだと言えます。
透明でシンプルな場所があって、
住む人は、そこにあるべきライフスタイルを選び、モノを購入して風景を自分でつくっていく。
そして、その人の成長、年代、流行などにあわせて、スタイルやモノは消費されつづけていく。
個人個人、すべてがプレイヤーであって、「住宅」はそれをカッコ良く演出するモダンな舞台装置。
モダニズム住宅建築の本流です。
そういう住宅が、戦後に始まり先の金融危機で終わった「消費資本主義社会」を生きる人間の住むための容器だったのです。
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今、僕ら(建築関係者)は、この「ケーススタディハウス」の価値(かっこよさ)を正しく理解したうえで、次の時代の「住宅」を作らなければなりません。
..と、僕としては、そういう意味をもった今回の買い物だったわけです。
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で、amazonは、もうまさに「消費」の最終型なのでしょうか?
それはそうと、amazon在庫が残り少ないようだぞ。
急げ!