コストと工期で振り返る「屋上テラスとリビングがつながる家 – HOUSE aeroccino」


HOUSE aeroccino。
ようやくエスの住宅事例集サイト(http://open-g.net/press)に公開しましたので、ちょっとここでプロジェクトをおさらい。


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予算規模は1000万台中盤クラス。
小さな家ですから、スケールメリットも小さく、けっこうローコスト設定です。
そして工期は、いつもより少し「短工期」。
一般的に、早く引越しできれば、現在の家賃負担を減らすことができるため「短工期」はトータルコスト的に有利です。
振り返ると、
エスのWEBSITEから問合せを頂いたのが、去年の9月中旬、設計契約を頂いたのが10月、設計と工事を経て建物引渡し、お施主さんが引越したのが今年4月下旬。
トータルで、およそ7ヶ月。
一般のHMや工務店住宅では、どうってことないスケジュールなのでしょうが、いわゆる「設計事務所」が手掛ける仕事としてはかなりハイスピードなほうだと思います。
設計依頼を頂いてから、怒濤のスピードでプラン検討。
合計で6案のバリエーションを提案しました。
 
「半地下+2階」の案や、ワンボリュームでスキップフロアが展開する案など、わりと魅力的なアイディアが次々と出ました。
工事や設計にかかかるコストや期間を検証し、それら案の良いところをピュアに取り込みつつ、密に打合せを重ねてブラッシュアップ。
基本プランが、設計依頼後1ヶ月でほぼ固まりました。
エスの新記録かもしれません。
もちろん、お施主さんの素早い判断と承認をいただいたことは大いに助かりました。
途中、そのプランに関して、建築確認を受け持つ確認検査機関との「見解の相違」にも直面しながらも、ダッシュで切り抜けていきました。
(ここだけの話、「見解の相違」に直面した場合、確認検査機関を切り替えることも往々にして有り得ます。でも今回は、プランの緻密な変更調整に対して、お施主さんの早期承認をいただきつつ対処しました。)
そして、施工を担当する建設会社も、実力もあり気心の知れた「スリーエフ」さんを早期から想定。
あえて相見積じゃなくて特命発注とすることは、利点もあります。
その1。
何の工種が高くついて、逆に何が安くできるか?
それは工事会社さんによってある程度の傾向があるわけです。
設計をその「事前に予測できる傾向」に合わせて計画することは、一定の価値範囲内では「合理的」だと言えます。
その2。
仮に、相見積を選択した場合、各社の査定にかかる期間を考慮すると、必ずしもコスト的には有利に働きません。
例えば10万円単位でのコスト比較に時間をとられることとと、お施主さんの家賃負担とローン金利負担のことを並べて考えると、ここでもひとつの合理的判断が見えてきます。
上記のことは、割と小規模なプロジェクトにしか当てはまらないかもしれませんが、我々「作家的」な設計事務所が意図的に避けてきた「合理的判断」をあえて採用することは、ある意味、非常に意義深いと思います。
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だからと言って、できた作品のクオリティが下がったわけでは全くありません。
建築、ことに住宅においては、作品の質というのはある固有の価値観やクライアントの考え方の上にしか成立しません。
で、その価値観というは、与条件(おもに経済的なこと)の上にしか存在できません。
つまり、建築(住宅)というものは、「与条件をいかに編集デザインするか」という技術なのです。
そもそも、ローコストのための方法として決まったセオリーがあるわけじゃありません。
常に、個別のクライアント、個別の与条件に対して、適切なデザインをあたえるしかありません。
そういう意味で、
このプロジェクト「HOUSE aeroccino」は、僕にとってちょっと自信作なのです。
→作品ページ「「HOUSE aeroccino」」
http://open-g.net/press/archives/518