ローコスト素材の定番、ラーチ合板を吟味する。


ローコスト・デザインにこそ「手間をかけること」が必要。
木材屋さんの倉庫で、大量の在庫の中から良素材を掘り出します。


・・
ラーチ合板(針葉樹合板)は、構造用のマツなど樹を薄くスライスして張合わせ、パネル状にしたもの。
壁や床の耐震構造用の面材に用います。
本来は、仕上の下に隠れてしまうものです。
だから、もともと「見た目」を考慮して製造されていません。節だらけだったり、色が汚かったり…。
でも実は、その製造ロットの中の何割かは、けっこう「美しい木目」のものが混じっています。それがなかなかイイ感じ。
たしか10〜20年前、「それを”表面仕上げ“として使う」というアイディアが生まれ、その後、デザイン系の設計者たちのローコストの定番素材として扱われてきました。
どれくらい安いかと言えば、
たとえば一般的な「杉羽目板」を使う場合とくらべて、価格はおよそ半分以下。
本当に重宝します。
ただし、これを使うときは、「素材の選別」という手間がひとつ加わります。
よって、大量に必要とする現場では、「良素材」の確保が重要です。
いつも、僕の現場の建材担当者たちは、けっこう気づかってくれていて、かなり良いものを現場に納品してくれています。
しかし、何しろナマモノ。安定した木目品質が保たれるわけじゃありません。
そもそも「きれいに作られたもの」じゃありませんし。
そこで、僕はときどき(ちょっと気になるときに限って)、直接、木材倉庫に乗り込んで素材を見させてもらいます。

建材担当者が前もって、大量の在庫の中から良さそうなモノを「ひと山」選り分けておいてくれました。
イケそうな板は半分強、残りはイマイチ。
それでも比較的、このロットは「いい山」ですね。
100%完璧な木目を目指すのは無理というもの。
そこで僕の役割は、
現場の規模や建物のデザインテイストなどを総合的に考慮した上で「これくらいの木目でいこう!」と採用する木目基準をその場で指定すること。
その基準をもとにして、選別された素材たちが現場に入ってくるわけです。
・・
安い素材ですが、倉庫での吟味と、さらに現場で手間をかけることによって、とても素敵な仕上がりになります。
僕は、使う部位やデザインコンセプトによって、いろんな最終仕上を採用します。
無塗装で使ったり、オスモカラーで塗装したり、普通のペンキを塗ったり。
さらに、もともと剛性(強さ)があるものなので、デザインのバリエーションはとても広い。
・・
大きな窓のまわりに、焦げ茶に染めた「ラーチ合板」を張った例。

パネル状の製品を細くランダムに切って、ナチュラルな感じのウッドスクリーンを作った例。(以前の記事写真の再掲です)

・・
じつは、ラーチ合板の中には「インテリアラーチ合板」というキレイな製品もあります。
いわゆる「仕上げ用」の製品です。
まぁ話が長くなるので、それはまた別の機会に…