建築化への触媒としての「BGM」、たとえば Fishmans。
僕の事務所ではプロジェクトごとに、作業の「テーマ音楽」を決めて、ずっとBGMで流しています。
コンセプトを練るとき、設計作業するとき、現場での仕上げを細かく考えるときのBGM。
いくつものプロジェクトを同時進行しているときでも、BGMの傾向を変えることによって、各プロジェクトごとに気持ちを切り替えることができます。
・・
設計とかデザイン。
それは、簡単に「言葉」で説明し尽くせることではありません。
たとえば、住宅。
お施主さんと初めてお会いしたあと、
何度も何度も濃密なミーティングを重ね、
たくさんのプランやスケッチを作って、
参考になる写真やサンプルを見ながらイメージを膨らませて、
設計図を完成させて、
お施主さんには、何回も途中現場を見ていただきつつ「思い」を引き出し、
苦労しながら現場を丁寧に仕上げていって、
そして、
何とか「建築」が出来あがった、その後も、
ずっと、僕の頭の中には
「言葉」には、置き換えることのできない「ナニモノか」が、
正体不明のままドンっと横たわったままでいます。
設計するためには、
その正体に何とかして近づきたい。
そこで僕は、その「ナニモノか」を
「テーマ音楽」に置き換えてみることにしているのです。
歌詞が「コトバ」としてあっても、それは説明するための「言葉」ではありません。「音楽」も、「言葉」に置き換えることができないものですよね。
BGMとして流すということは、
直接、正体を暴くのではなくて、「音楽」という別ルートから力を抜いて「ナニモノか」を眺めてみる...という感じでしょうか。
・・
現在、現場が佳境をむかえている「プロジェクトaeroccino」。
http://www.open-g.net/aeroccino/
現場ブログ、絶賛公開中。施主の福助さんとお多福さんには、多大にご協力を頂き感謝しております。ありがとうございます。(公開終了しました/2010.8.23)
さて、
このプロジェクトaeroccinoで、作業時に事務所でヘビロテされているのは、
じつは「 Fishmans(フィッシュマンズ)」です。
楽しくて、
うれしくて、
華やかで、
でも
悲しくて、
せわしくて、
さみしいこともいっぱいあって、
あたり前だけど、
晴れた日もあるし、雨も降るし、風も吹く。
そんな、幾重にも出来事が折り重なった複雑な生態系。
生態系を包み込む、背景としての何層もの微気候。
「東京」という、環境。
そこで、「家」を建てて暮らしていくこと。
そして、生きていくこと。
都市の中に「家」をつくることの意義。
「生き物」としての人間が、現代の東京で暮らしていく価値。
プロジェクトとは全然関係ないはずのFishmansの世界観が、僕の脳を適度に刺激してくれます。
でもBGMは、あくまでもBGMであって、
Fishmansの音楽を「建築」で再現するつもりでは、決して、ありません。
ただ、Fishmansの音楽の持つ「ナニモノか」が、
つくりつつある「家」の「ナニモノか」を建築化するための触媒として作用しているだけなのです。
(Fishmansの楽曲は、いわゆるイージーリスニングにはほど遠くて、真面目に聴き入っちゃう。一般的な喫茶店の「BGM」みたいなものとは異質..)
・・
一方、
お施主さんの音楽的嗜好を把握することは、設計作業を進める上で必須項目です。
ミーティングでお施主さんに、「好きな音楽は何ですか?」とお尋ねしたり、
ご自宅へ打合せに伺ったときにスピーカーから流れている音楽の種類をメモったりします。
やっぱり、「音楽」というものは、
その「人となり」がとてもよく分かりますから...
でもそういえば、
僕の事務所での「BGM」のことをお施主さんに伝えないままでいることが多いですね。
秘密にしてるわけじゃないですから、気になったら聞いてみてください。(>お施主様たちへのご連絡)




