2007年10月12日 4. 建築・空間・素材論

僕が「好き!」と思ったことのある建築たちのことを最近いろいろ考えている

(PHOTO 代官山ヒルサイドテラスにて)

「父さんが一番好きな建築って何?」

このあいだ、長男(4年生)と一緒に道を歩いていて、唐突にこう尋ねられた。

「え?何かなぁー・・・。」

そういえば、僕が好きな建築ってどんなんだったか...。
子どもならではの直球な質問にパッと答えが出せないでいたのであった。

・・
「父さんの作品でもいいし、他の人の作品でもいいよ。」
息子が回答の幅を許してくれる。

「うーん、自分の作品で言えば、まぁ..全部それぞれに好きだな。」
無難な回答である。
親としては、この無難さがちょっとハズカシい。

「じゃあ、他の人の作品では?」

「何だったけなー・・・」

・・

そう、最近、僕は「自分の好きな建築」を忘れて仕事をしていたようである。
もちろん、「この建築は、ここが優れている」みたいな、客観的かつ何やらプロっぽい言い方は常にしている。
しかし、
子どもに向って「俺はこれが好き!」
と、はっきり言えるものを最近忘れてたような気がする。

..というわけで、
僕が「好き!」と思ったことのある建築たちのことを
最近いろいろ考えているのである。

思い返せば、好きな建築が沢山あったじゃないか。
なんで忘れてたんだろう。


で、今日は「好き!」を確認するべく、
代官山方面の用事のついでに「ヒルサイドテラス」を久しぶりに訪れている。


ヒルサイドテラスとは、1969年に第1期が完成して以来、少しずつゆっくりと開発を継続している建物群(街並)である。


建物のデザインテイストとしては、正統派モダニズムで統一された都会的でクールなもの。
静かで饒舌すぎない「クールさ」である。


いや、このクールさが「好き」ということではない。

クールさで構成された「たたずまい」全体が好きなのである。


建物と建物とが絶妙な距離感を保っていて、心地よい「間(ま)」のスペースを作り出している。
敷地の中の通路と、その外にある公共の街路がさりげなく繋がりあう。
既存の緑が、新しく植えられた緑と自然に解け合う。


こういう「たたずまい」が、好きだ。
「さりげなく」「自然に」っていう感じが好きだ。

集合住宅、ショップ、オフィス、広場、そして街路が、広いエリアの中にグルグルと混ぜ合わされている。


どこにいても気持ちがいい。


・・

思い返せば、こういう「たたずまい」を僕は自分のどの作品でも目指して来たような気がするな。

こういう「たたずまい」っていうのは、クールでさりげないように見えるけれど、じつは実現させるには大変な情熱とエネルギーが必要とされる。

だいたいそういうもんである。

設計や工事にかけられたであろう苦労の痕跡が見えてこない「プロフェッショナルさ」。
そういうところも「好き」である。



 
加藤幸彦
KATOUYUKIHIKO


エス
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